住友電工の新キャラクター開発秘話と、「なんとかする」プロデュース論
STUDIO HOLIDAY News Letter🍩 #6
今月のトピック
⚡住友電気工業の公式キャラクター「スミーディ」が生まれるまで。
🧩良い企画なのに、なぜプロジェクトは動かない?「なんとかする」プロデュースの話
🇹🇼漬物だけでこの旨み?スタホリフードクリエイターが台湾で出会った発酵の力
✍️編集後記
☕️おつかれさまです。コーヒー片手にどうぞ。
私たちは「人を、心を、動かすデザイン。」を合言葉に、企業や地域の「こんなんやりたい!」を応援し、プロジェクトに伴走するデザインファーム、通称スタホリです。
いつも私たちを支えてくださる皆さんの忙しい毎日に、ちょっと一息つく時間を届けたい。そんな思いを込めてニュースレターをお届けします📮
⚡住友電気工業の公式キャラクター「スミーディ」が生まれるまで。
前回のメルマガで「キャラクター開発って、どうやって考えたらいいの?」というテーマを書いたところ、ありがたいことにとてもとても反響をいただいております。
なので今回は、その実践編。スタホリがキャラクター開発を担当し今年5月にデビューしたばかりの、住友電気工業(以下、住友電工)の公式キャラクター「スミーディ」の開発秘話をご紹介します!
それでは早速、スミーディさん!どうぞ!
ジャジャン!これが、スミーディです!どうです、かわいいでしょ。
住友電工の事業のはじまりである一本の銅線から生まれたスミーディ。得意なことは、いろんなものをつなぐこと。人と人、街と街、そして今と未来をつなぐのが大好きです。しっぽのアンテナが不調になるカミナリは苦手。転んだりもするけれど、みんなの役に立ちたいなあと、今日も明日も世界のすみずみまで走っていきます。
開発のポイントは、大きく2つ。
☝️ひとつは、住友電工のオリジンである“銅線”から着想を得てデザインしたこと。前回の記事に書いたとおり、キャラクターの「らしさ」は、その会社の真ん中からしか出てきません。住友電工の真ん中にあるのは、銅線からはじまり、約130年の中で蓄積された信頼と技術。だからスミーディの見た目には、その原点をちゃんと編み込もうと考えました。
✌️もうひとつは、世界のどこでも愛されるようにすること。 住友電工は世界各地に拠点を持ち、グループ全体でなんと約30万人の社員がいるんです。だから日本語の説明がなくても、ひと目で「なんかいいなあ」と思ってもらえる造形であることが大事だったのです。
住友電工の広報部と株式会社電通のみなさんと一緒に、あれやこれやと、造形や人格を丁寧に議論しながら生まれました。
企業キャラクターが長く愛されるために、まずは社内から。
これは、住友電工の広報チームと議論を重ねる中で固まった方針なんですが、とても正しいアプローチ。今日はそのあたりからお話しを。
企業キャラクターが世の中で愛されるかどうかは、実はその手前の「発信している企業の社員たちが、”この子を推したい”と思えているか」に下支えされています。
社員が愛していないキャラが世の中に出て発する言葉って、どこかうそっぽくなる。だからまずは社内から。地熱でじわじわ温めるようにして盛り上がりを作っていくことが大事なんです。
この方針を、住友電工さんと最初から一緒に持てたことが、このプロジェクトのいちばんの強さだと思っています◎
その一歩として、スミーディの名前は住友電工の社員さんたちからの公募で決めるプロセスに。なんと589案もの応募がありましたが、自分が名付けに関わったキャラクターは、もう他人じゃないですよね。
社内報でのネーミング募集からはじまり、着ぐるみで社内イベントにも出たり、まずは社内で「見かける機会をコツコツ増やしていく」のが、とっても大事。
その結果もあってか住友電工の社内からの反響はすさまじかったようで、国内外の拠点から「うちの拠点で使いたい!」「スミーディの動画を作りたい!」とリクエストが殺到しているそうです(広報部のみなさんは嬉しい悲鳴...おつかれさまです…🍵)
企業の発信活動で、スミーディが翻訳係になる
前回のメルマガで、キャラクターは企業と生活者のあいだに立つ「柔らかなインターフェース」であり「メッセンジャー」だと書きました。スミーディの開発も、まさにその目的からスタートしています。
というのも、住友電工って、ものすごい会社なんですよ!たとえば自動車用ワイヤーハーネスは世界トップシェア、売上高は4兆円を超える企業。でも、BtoB企業あるあるですが、世界に誇る事業内容が一部の人にしか知られてなかったり。ポテンシャルと認知のあいだに、大きなギャップがあるんですよね。
ある調査では、生活者の約46%が「キャラクターが商品・サービスを伝えると、興味や理解が深まる」と答えています。それは難しい技術の話ほど、翻訳が要るということ。スミーディはこれから、住友電工の魅力を「もっと伝える」ためのメッセンジャーとして活躍してもらいます!
キャラ群雄割拠の時代に、愛されるために。
振り返ると、スミーディはけっこう「攻めたキャラ」でした。実は他にも候補はいたのですが、その中でも特にスミーディがいちばん尖ったキャラクターだったんですよね(そしてそれを選んだ住友電工さんの、器の大きさよ…!拍手)
その選択は確実に機能しています。日本は今なお、キャラクターが群雄割拠の戦国時代!ゆるキャラ、企業キャラ、過去の人気キャラのリバイバルやSNS発のキャラも飽和している現代に、まず覚えてもらうためのインパクトは、かわいさと同じくらい重要です。キャラの尖りは、埋もれないための条件なんです。
そんなスミーディ!「キャラクター総選挙2026」への出馬も決まりました!(👏👏👏)なんと、本日8月17日から応募開始です。
スミーディへの応援は、「NEKKEI 企業キャラクター総選挙2026」から!
🧩良い企画なのに、なぜプロジェクトは動かない?「なんとかする」プロデュースの話。
はじめまして!スタホリメンバーの安武です。
「小学生からラグビーやってました」と言うと、だいたい「あー、やっぱり!!」と言われます🏉
あ、スタホリでは、広告営業、投資、ビジネスデザイン、事業伴走などの経験を活かし、主にビジネスプロデュースを担当しています。
このメルマガ、これまでデザインの話が中心でした。
今日はその裏側で、プロジェクトを前に動かす「なんとかする仕事」の話を少しだけ。
プロジェクトが「詰む」理由。
先日、あるお客さまにこう言われました。
「プロジェクトがうまく進まなくて、正直どうしたらいいか……」
最近、こういうご相談が増えた気がします。
プロジェクトが複雑化し、関わる人も領域も判断の数も、昔より格段に増えている。さらに、AIによって仕事のスピードもどんどん速くなっています。
その一方で、そのスピードに整理が追いつかないまま走り、
「そもそも誰の、何の課題を解いてるんだっけ?」
「結局、誰が全体を見るんだっけ?」
などと、途中で迷走する。
これまでいろいろな現場を見てきて、プロジェクトがうまく進まなくなる背景には、企画そのものよりも、最初の設計が曖昧だったり、「誰が全体を見るのか」が決まっていなかったりするケースが意外と多いと感じています。
ゴールに向かって、なんとかする人。
「プロデューサーって、要は進行管理でしょ?」
と言われることがあります😂
もちろん、お金もスケジュールも管理します。でも、私が一番時間を使っているのは、そのもっと手前です。
何をやるべきか、まだ決まっていないところから入る。
お客さまと一緒に課題を言葉にし、ゴールから逆算して全体像を考える。必要な人を集めてチームをつくり、始まったあとも足りないものを補いながら前に進める。
長年やって、一番しっくりくる自己定義は、「ゴールに向かって、なんとかする人。」
「名もない仕事」で、全体をつなぐ。
もちろん、戦略を考える人も、デザインする人も、つくる人も、それぞれにプロがいます。
私が特に力を使うのは、その間にある仕事です。
あえて3つの言葉にまとめると、まだ何も決まっていない状態をプロジェクトに「ととのえる」。絵に描いた餅を、つくれる形に「つなぐ」、走り出してから出てくる詰まりや、こぼれ球を「ひろう」。
どれも派手な仕事ではないし、「これは誰の担当?」と言われると曖昧なものばかり。でも、誰かがやらないとプロジェクトは止まります。
そんな「名もない仕事」を拾いながら、プロジェクト全体をつないでいく。
そして、スタホリで大事にしているのは、お客さまの事業成長に責任を持って「なんとかする」こと。
ビジネスに絶対はない。だからこそ、うまくいかないときも含めて、一緒にとことん考える。
それでも、動かなかったプロジェクト。
ただ、こうした「名もない仕事」をするうえで、もうひとつ大事だと痛感したことがあります。
前職時代、ある大手金融機関のプロジェクト。普段はお客さまと頻繁に会話しながら進めるのですが、そのときは先方も多忙で、「2か月後に提案を」という進め方でした。
必要なヒアリングもした。提案にも自信がありました。
でも、動きませんでした。
振り返ると、足りなかったもののひとつは、関係の深さだったんだと思います。
仕事上必要なことは聞けていた。でも、その組織が本当は何に困っているのか、何が動きを止めているのか。そこまで一緒に掘っていける関係にはなれていなかった。
プロデュースの技術をより生かすには、相手の本質まで一緒に考えられる関係も大事なんだと痛感した経験でした。
🍚同じ釜の飯を食べるところから。
スタホリでは毎週木曜に「みんなでごはん会」をやっています。
社内だけじゃなく、クライアントさんやコクリエイターも集まり、同じ釜の飯を食べる。
案件化してから関係をつくるのではなく、その前から一緒にごはんを食べる。
もちろん、ごはんを食べれば何でも解決するわけじゃない。大事なのは、仕事になる前からその人を知ること。
仕事の話だけでは見えない、その人の考え方や大事にしていることを知る。
そういう関係があるからこそ、いざプロジェクトが始まったときに、本質まで一緒に考えられる。
これって、ひそかにスタホリの大事なお作法なんじゃないかと思ってます!!
「プロジェクトが複雑になって動かない」
「いろんな人が関わって、何が正解かわからなくなった」
「誰かに全体を見て、一緒になんとかしてほしい」
そんなところから一緒に「なんとかする」のが、私の仕事です。
でもその前に。まずは一緒に、ごはんでも食べましょう🍚
漬物だけでこの旨み?スタホリフードクリエイターが台湾で出会った発酵の力
今回登場するのは、STUDIO HOLIDAYが運営する食のコワーキングスペース「K,D,C,,,」のフードクリエイター・愛ちゃん。「国際薬膳師」の資格を取得した本格派でもあります。
先日台湾旅行に行った際、面白い文化に触れられたというので、話を聞いてみました。
ルーロー飯、小籠包、ジーパイ。イメージは肉の国台湾🇹🇼
台湾に行く前のイメージは、とにかく「肉」だったそう。
ところが実際に現地を歩いてみると、意外なほど野菜中心。台湾は人口の約13%がベジタリアンという世界でもトップクラスの菜食大国で(日本は約5〜6%と言われている)、コンビニや夜市にも当たり前にベジタリアンメニューが並んでいる。(食べる罪悪感から解放されるの、素直にうらやましい!)
そしてもうひとつ驚いたのが、薬膳の距離感。
日本で「薬膳」と聞くと、ちょっと特別なもの、意識高い系の人が取り入れるもの、というイメージがある。でも台湾ではそうじゃない。コンビニのカップ麺にナツメやクコの実が入っていたり、棚には養生ドリンクが普通に並んでいたり。
子供の頃からおばあちゃんに「今日は体が冷えてるからこれ食べなさい」と言われて育ったような、そんな感覚が今もそのまま残っている。
台湾の人たちはこれを「食補(シィーブゥー)」と呼ぶ。直訳すると「食で補う」。特別な健康法じゃなくて、「ちょっと疲れたから体にいいもの食べとこう」くらいの、ごく自然な日常の一部なんだって。
塩水だけでこの旨み。簡単すぎる発酵食「酸白菜」とは?
スタホリが運営する食のコワーキングスペース「K,D,C,,,」で、毎週木曜に開催している「みんなでお昼ごはん」。ここにも台湾の体験がしっかり出ていた。ある日の豚肉と白菜のスープ。ひと口食べて、スタッフが口を揃えて言ったのが「旨味がすごい」。
酸味があるのにまろやかで、出汁の奥行きが深い。これなんの味?何入れたの?と聞いたら、返ってきた答えが意外だった。
「台湾のお漬物だけだよ。」
え?
このスープの正体は「酸白菜(スァンバイツァイ)」という、台湾で出会った発酵食だった。作り方を聞いてさらに驚く。白菜を切って、塩水に漬けて、2週間待つ。以上。
「……それだけ?」「それだけ。」
白菜と塩だけで仕込んだ発酵食が、そのまま鍋の具材にもなるし、スープの旨味にもなる。余計な調味料を足さなくても、発酵の力だけであの味が出る。スタッフに大好評で、「またあれ作って」の声が止まらなかった。
日本も豊かな発酵文化を持つ国だけど、台湾にはまた違った「台湾式の発酵アプローチ」がある。素材と塩だけでここまで深い旨味が生まれるのかと、発酵の懐の深さに触れた体験となりました。
台湾から持ち帰った、ご飯がすすむ!調味料アイデア。
台湾のローカルな熱気と発酵の奥深さに触れた愛ちゃん。彼女の中にいま芽生えているのは、台湾で出会った味をヒントにした、日本の食卓にも馴染む「新しい調味料」のアイデア。
台湾で得た刺激を胸に、K,D,C,,,のキッチンでさっそくアイデアを練っているようです。
✍️編集後記
今回も、最後までお付き合いいただきありがとうございます。
まとめながら気づいたのですが、今回の3本に共通するのは、ぜんぶ「仕込み」の話でした。
スミーディは、世の中に出る前に、まず「社内でじわじわと愛を仕込む」。安武くんのプロデュース論の話は、仕事が始まる前に「同じ釜の飯で関係を仕込む」。まるでそれは、料理人・愛ちゃんの酸白菜が白菜を塩水に漬けて、2週間待って仕込むように。。。
派手な成果の手前には、いつも地味で、見えなくて、でもとっても重要な仕込みの時間がある。そして、いい仕事の味は、たぶんそこで決まっているんだよなあ。発酵とプロジェクトって、意外と似ているのかもしれません。
スタホリはこれからも、プロジェクトがおいしく育つように、コツコツ仕込みをしていきます。
それでは、また次回のメルマガでお会いしましょう!
ここまで読んだよ!という方は、下のハイタッチをぜひ🙌
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